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研究所のスタッフたちは、マッシュルーム栽培の堆肥に稲ワラが使われることから、まず稲ワラ集めに奔走しました。季節はちょうど秋口、知合いの農家で刈り入れの後について歩き、必死になって稲ワラを掻き集めました。
しかし、稲ワラが集まったものの、ビニールハウスの中に備える棚もありません。そこで、スタッフはアルバイト先の工務店から廃材を譲り受けてきました。ところが、問題はここからでした。知人からもらった竹を底板の材料に使ったのが失敗の原因です。竹の切り口に見られる白い部分は炭水化物です。これが雑菌のエサとなって、繁殖してしまったのです。 |
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つまづきはそれだけではありませんでした。マッシュルーム栽培をヒントにし、平ウネに3cmくらいの覆土をしたのですが、そのとき「ある程度栄養のある土のほうがいいだろう」と考えて、畑の土を使ったのです。高温多湿である上に、土の栄養がたっぷりあったのでは、雑菌が喜ばないわけがありません。当然、キノコは発生しませんでした。
数限りない失敗・・・。でも、研究所のスタッフは諦めませんでした。岩出博士のアドバイスにより、このキノコの自生するブラジルと同じ環境さえ整えば、人工栽培は不可能ではない、という信念があったからです
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試行錯誤を繰り返し、日本初上陸から10年の歳月が流れたある夏の日、赤ん坊の小指ほどのキノコが菌床にポツン、ポツンと顔を出し始めたのです。
それは小さな、小さなキノコでしたが、スタッフたちの目には、とても大きなキノコに見えました。スタッフ全員が喜び、涙を流しながらそのキノコを眺めました。そこに博士の叱責が飛んだのです。
「泣くのはまだ早い。芽の1本や2本もとらないで…。」 叱り飛ばした博士の声も感動でうちふるえていることは、スタッフたちにもわかりました。
しかし、岩出博士の言葉通り、「人工栽培に成功した!」と言えるまでには、まだ3年の歳月を必要としたのです。 |
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